《経済》 形は自在 織布センサー – 中日新聞



◆浜松市北区のロボセンサー技研が開発中

自由に縫製できる織布センサーを開発する「ロボセンサー技研」の大村社長。介護やスポーツと幅広い用途の開拓を目指している=浜松市北区で

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 織布状の触覚センサーの開発を目指す技術系ベンチャー「ロボセンサー技研」(浜松市北区)が今月、創業支援を目的とした静岡銀行や浜松信用金庫のビジネスプランコンテストで、連続して最優秀賞に輝いた。開発中の触覚センサーは、手袋や靴下といった自由な形に縫製できるのが特長で、手のひらや足裏の圧力を正確に測定する。リハビリ治療用のマッサージ機器をはじめ、スポーツや熟練工の技術伝承といった幅広い分野での活用が期待できる。
 社長の大村昌良さん(57)は浜松市出身。広島大大学院工学研究科(修士)を修了後、富士通やヤマハで半導体や高密度集積回路(LSI)の研究開発に携わった。首都圏の企業に一時勤めたものの、母親の面倒をみるために帰郷。専門分野の知識を生かし「人の生活に役立つ製品を」と二〇一六年八月に起業した。
 織布センサーには圧力が加わると電圧が発生する特性を持つ「圧電素子」を用いる。高感度でわずかな圧力でも検知できるうえ、自己発電するため電源もいらない。交通量の調査や土砂崩れの監視、自動搬送ロボットのバンパー部分などに使われている。
 圧電素子のケーブル型センサーは市販されているが、最も細いサイズでも直径三ミリほど。同社は、特注した直径約〇・六ミリの極細ワイヤを利用し、糸と一緒に織り込むことで、柔軟性や通気性の高いセンサーに仕上げる。自由な形に縫製できるうえ、色やデザインもいろいろなオーダーに対応できるのがメリットだ。

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 最も需要を見込むのは、介護・医療市場だ。手袋センサーに縫製してマッサージ師の手の動きを測り、動きを再現することで手にまひのある患者のリハビリ治療用のマッサージロボットの開発に応用できる。
 スポーツ市場では、手袋や靴下のセンサーでゴルフクラブやバットの握り方をはじめ、足裏の重心を測定して、技術習得に生かす機器を計画する。製造業には、熟練工の手作業を手袋センサーでデータを取り、技術継承に生かすことを提案する。
 浜松商工会議所の紹介で、県内企業のネットワークをフルに活用する。圧電素子の極細ケーブルは日星電気(浜松市西区)、縫製加工はサカイ産業(島田市)にそれぞれ発注。デザインはバングラデシュ伝統のノクシカタ刺しゅうを手掛けるブノポロジージャパン(浜松市西区)に依頼する。
 事業計画では、一七年度中に織布センサーの製造法を確立して一部販売に乗り出す。ロボットの制御システムの開発にも並行して取り組み、一八年度から販路開拓を本格化する。二一年度にリハビリ治療用機器の販売を目指す考えだ。
 大村さんは起業前、百二十社近くの中途採用に応募し、落ちた経験がある。共同開発を申し込んだ企業に冷たくあしらわれたこともあった。「苦労も多かったが、支援してくださる方がいて受賞できた。感謝の気持ちで事業を成功させたい」と意気込んでいる。
(瀬戸勝之)

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